Oct 11, 2010
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民主党の野田佳彦代表(54)は30日午後、衆参両院本会議での首相指名選挙で、菅直人首相(64)の後継となる第95代、62人目の首相に選出された。柔道五輪金メダリストで、民主党の谷亮子参院議員(35)は、野田首相のもとでの「挙党一致」に期待。さらに高校で黒帯(2段)を取るほど柔道に打ち込んだ新首相と意思疎通を図るため「一度お手合わせを」と、対戦を希望した。84年ロス五輪男子無差別級金メダルの山下泰裕氏(54)は、野田氏の“ドジョウ演説”に共感したことを明かした。
野田首相を指名した参院本会議後、ヤワラちゃんが新首相と、畳の上で対話するプランをぶち上げた。「野田総理も柔道? そうそう、2段なんですよね! 会ったときは、よくそういう話、するんです」。すでに“柔道トーク”をしていたことを明かした。さらに仕事上でも「特にお世話になったのは、スポーツ関連予算に関していろいろお話ししたときです。過去最高額の228億円になったんですよ」と話した。
ただし「対決したらどっちが強い?」という質問をされると、世界最強の女王の顔がのぞいた。「野田先生は2段、私は4段ですよ…」とニヤリ。「(国会の)衆院第2議員会館の地下に道場があるので、ちょっと一回、お手合わせを申し込んでみようかな」。“ヤワラVS首相in国会”という異色マッチを提案した。
野田首相はテレビドラマ「柔道一直線」の影響で、千葉県立船橋高で柔道に熱中したが、思惑が渦巻く永田町での「寝技は苦手」と自称する。谷氏は「それじゃ寝技を基本姿勢から教えなきゃ…」と言いかけたものの「あ、でも私も、現役時代は98%、立ち技で勝っているんですよね」。むしろ共通点を見いだしたようだ。
小沢一郎元代表(69)と行動をともにしてきた谷氏は、代表選では海江田氏を推した。しかし結果が出た以上、野田氏に期待している。「最強の布陣をつくり、全員が汗をかける挙党態勢を築いてくれると信じています。私も下から支える力になりたいです」と共闘宣言した。
野田新首相の誕生でファーストレディーとなる仁実(ひとみ)夫人(48)にも注目が集まる。県議時代から野田氏の政治人生を支えてきた糟糠(そうこう)の妻を、周辺は「古き良き大和なでしこ」と評す。一方、野田氏の実弟で千葉県船橋市議の剛彦さん(50)は「誠実で優しい兄」と評した。
首相指名のテレビ中継を見ながら、剛彦さんは「あの兄が…。なんか現実じゃないような気がしますけど、感無量です」と喜びを口にした。
小学校に上がったばかりの頃、剛彦さんがかぶっていた野球帽を6年生が奪い、ふざけて地面に叩き付けたことがある。目の前で目撃した4年生の佳彦兄さんは帽子の汚れを払って弟に渡すと、一回り体の大きい6年生に向かって突進。倒してしまった。「ケンカが得意だったわけじゃないのに。優しい兄なんです」
プロレスごっこが大好きで「ジャンボ鶴田が本気で戦えば一番強いんだ」が口癖だった兄。保育園入園の面接で「総理大臣になりたいんです」と言って母親の度肝を抜いた。
代表選を制した29日の午後9時頃、兄から電話があった。「大変なことになっちゃった。でも、オレ頑張るよ」。剛彦さんは「とにかく国民のために精いっぱい働いてほしい」と一人の政治家としても期待している。
野田佳彦新首相も「一つ穴のムジナ」なのか。鳩山由紀夫前首相、菅直人首相−と2代続いた虚言癖、場当たり主義、言ったことをすぐに忘れる健忘症にはうんざりだったが、新首相は衆参両院の首相指名を受けて早々に男を下げた。
もちろん民主党ナンバー2の幹事長に「日教組のドン」である輿石東参院議員会長の起用を決めたことによってである。小沢一郎元代表に近い輿石氏を重用することで党内融和を図る意図は読み取れるが、保守政治家を自任していたのは一体誰だったか。のっけから年来の主張を放棄するようでは前任者2人と変わらない。
◆菅氏へ痛烈な皮肉
「思惑ではなく思いで、下心ではなく真心で、政治を前進させるときだ」
新首相は29日の党両院議員総会でこう訴えた。意識したかどうかはともかく、思いは見えなくとも思惑は誰にでも見え、心は見えなくとも下心は丸見えだった菅氏への痛烈な皮肉だった。
だが、輿石氏の起用は、新首相が否定した「思惑」「下心」そのものではないか。新首相は「柔道部時代も政界でも寝技は苦手だ」とも語ったが、この人事は「立ち技」とは言えまい。
かつて新首相は道徳心の重要性を強調し「やりたかったのは文部科学相」と語っていた。まさか道徳教育を否定し、文部行政をゆがめてきた日教組と仲良くやりたいから文科相を望んだわけではなかろう。
新首相が平成21年7月に出した著書「民主の敵−政権交代に大義あり」(新潮新書)でも「自衛官の倅(せがれ)」として小学校時代の体験をこう振り返っている。
「自衛官の子供に対して『あなたの父親は人殺しを仕事にしている』と言った教師がいた、というような話はよく伝えられていますが、実際にそういう雰囲気がありました」
自衛官の子弟である弊社記者も小学校時代に日教組の教師から「○○君のお父さんは自衛官です。自衛隊は人を殺すのが仕事です」と言われて不登校となった。新首相も日教組の卑劣さを誰よりも分かっているはずだ。
◆日教組主張と相反
新首相はこれまで何を主張してきたか。北朝鮮には「断固たる態度をとるべきだ」と主張し、いわゆるA級戦犯は「戦争犯罪人ではない」とする政府答弁書を尊重してきた。
政府が「権利は保有しているが行使はできない」と矛盾した見解をとる集団的自衛権の解釈見直しを訴え、新憲法制定を提唱する。永住外国人への地方参政権付与についても明確に反対の立場だった。
ことごとく日教組の主張と相反するではないか。新首相は在任中ずっとほおかぶりを決め込むつもりか。自らの主義・主張の根本を曲げるようであれば、何のために首相の座に就いたのか分からない。
「震災からの復旧復興、原発事故の収束、円高デフレ対策等々、たくさん課題がある」
新首相は30日の党代議士会で新政権の課題についてこう語った。いずれも急を要する課題だが、一つひとつ解決していくには、何よりも首相の言葉への信頼が不可欠となる。指導者に信がなければ、進むものも進まないということは鳩山、菅両氏が証明してくれた。
つまり国民の信を得たいと欲するならば、両氏を反面教師にして正反対の姿勢を貫けばよい。自分の言葉に誠実に、嘘をつくことなく正面から向き合えばよいのである。
くしくも30日は、民主党による政権交代2周年。新首相は「私は断言します。政権交代には大義がある」と著書をこう締めくくるが、内向きな党内融和を優先することは大義でも何でもない。(阿比留瑠比)
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